本連合会は2018年に創立70周年という節目の年を迎えることができました。
創立以来、本連合会への御支援、御協力を賜りました全国の私立学校関係者をはじめ、都道府県私学協会、関係各位の皆様に改めて御礼申し上げます。
本連合会では、これまでの軌跡を踏まえつつ、この70周年を機に私立中学校・高等学校教育の更なる振興・発展に向け、必要な取り組みを着実に進めて行く所存です。
一方で、私立学校の運営は、我が国が少子高齢化社会を迎え、国や地方の財政状況も逼迫する中で、大変厳しいものがあります。
国では、Society5.0の到来に向けた人材育成を目指し、ICT教育の充実、グローバル人材の育成などが掲げられていますが、実際の学校現場に目を向けてみると、語られる理想との落差はあまりにも大きく、教育環境の整備に必要となる莫大な経費を誰がどう負担するのかさえ議論が尽くされていません。国公立学校では、運営費のほとんどが公費で賄われていますが、私立学校では経費の大半を学校自らが調達しなければならず、新たな教育改革を実効性のあるものとするためには、先ずは私立学校への包括的かつ根幹的な支援である経常費等補助金の拡充が必要不可欠です。
また、私立中高への進学に大きな障壁となっている学納金の公私間格差に関しては、高校では高等学校等就学支援金制度により一定程度の授業料の軽減措置が講じられています。しかしながら、私立高校の学納金には、授業料以外でも3年間で約27万円の施設設備費が含まれており、一方、公立高校では施設設備費がすべて公費で賄われていることから、学納金の公私間格差の是正には、施設設備費に対する支援も併せて必要となっています。さらに、同支援金制度については、近年、都道府県による上乗せ支援の実施により、無償となる年収水準や支援金額に新たな格差が生じています。そのため、国には都道府県間の格差是正のためにも、支援金制度そのものの拡充強化が強く望まれます。
我々はこうした私立中高を取り巻く課題に対し、今こそあるべき姿を示すとともに、未来を担う子どもたちが質の高い教育を受けられるようなお一層努めて参る所存です。
社会は急速に変化し、当然、求められる人材像や子どもたちへの教育も大きく変わっていく難しい時代ではありますが、われわれ私立中高がこのような変化の時代を乗り越え、来るべき時代にも改めて先導的な役割を果たすことが出来るよう、関係各位の皆様には、今後ともさらなるご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げる次第です。